不妊の原因は女性と男性では違います。
妊娠するためには、排卵や受精など多くのプロセスがあります。
どこかひとつに不具合があるだけで、妊娠は成立しません。
男性側の不具合の原因のほとんどは、精子の問題です。
精子の数が少なかったり全くなかったり、運動率が悪かったり、奇形精子が多かったり。
女性の主な不妊原因

対して、女性の不妊原因は子宮、卵巣、卵管など様々です。
- 子宮から出される粘液は精子の進入を助けてくれますが、この粘液の量や質に問題があり妊娠しにくくなるケース
- 子宮筋腫や子宮内膜症は絶対的な不妊原因ではありませんが、着床を妨げたり腹腔内に癒着を起こしたりして不妊につながるケース
- クラミジア感染症などによる影響で卵管が癒着すると、精子が卵管を通過することができないので受精できないケース
などなど。
代表的な不妊の原因をみていきましょう。
① 排卵障害
全不妊原因の15%、女性側の原因でも40%を占めるといわれるくらい、不妊原因の中でもとても多い障害です。
排卵障害とは、排卵が起こらない、もしくは排卵が遅い状態のことをいいます。
排卵が起こらないと、精子は卵子と出会えないため妊娠できません。
月経から排卵までの日数が長いと、自分では排卵日の予想がつきにくいうえに、排卵の回数も少なくなるため妊娠しにくくなります。
ただし排卵さえ起これば、1回の排卵あたりの妊娠の確率は同じです。
排卵障害を詳しく知りたいかたは“■妊娠できない女性の不妊原因に多い排卵障害とは?”をタップしてご覧ください。
② 卵管障害

卵管は子宮と卵巣をつなぐパイプの役割をしてくれます。
卵巣から排卵された卵子と、子宮から卵管へ進んできた精子が出会って、受精します。
そうしてできた受精卵を子宮に送る重要な働きをします。
もしもこの卵管が閉じられてしまったら?
卵子と精子は出会うことができないので妊娠できませんよね。
卵管にそんな障害が起こる原因として、主に次の3つがあります。
- クラミジアなどの感染による卵管炎や腹膜炎
- お腹の手術による卵管周囲の癒着
- 子宮内膜症による癒着
卵管障害については“■不妊原因の30~40%を占める卵管障害とは?”をご覧ください。
③ 子宮内膜症
「子宮の病気じゃないんですか!?」
と、多くの人が勘違いしているのですが、子宮の病気ではありません。
子宮内腔にしか存在しないはずの子宮内膜が、子宮以外の場所にできてしまう病気。
卵巣や卵管、腹膜、直腸、膀胱などによく起こります。
不妊期間が長い女性の3割にみられる病気。
子宮内膜症がやっかいなのは、子宮以外の場所で月経と同じように出血してしまうこと。
組織は子宮内膜なので、月経時にはその場所からも出血します。
その刺激による痛みで月経痛はひどくなります。
その場所で月経による出血を繰り返すことで、周りの組織と癒着を起こして不妊の原因になります。
例えば卵管に子宮内膜症ができると、卵管が癒着してしまい、卵管が閉じられてしまいます。
卵巣にできると卵巣内に古い血液がたまり、チョコレートのようにドロドロした液の入った嚢腫ができます。
これをチョコレート嚢腫と呼びます。
子宮内膜症が妊娠しにくくする原因については“■子宮内膜症が不妊に与える影響”をご覧ください。
④ 着床障害
卵子と精子がめでたく出会えた受精卵は、卵管から子宮内に入り、子宮内膜としっかりつながります。
これを着床といい、妊娠成立になります。
着床障害とはこのプロセスで問題がある場合です。
原因は大きく2つに分けられます。
1. 着床を妨げる要因がある場合…
子宮腔に子宮筋腫が突き出ている場合や、子宮内膜にポリープができていると、着床しにくくなることがあります。
2. ホルモンに問題がある場合…
卵巣にある黄体から分泌される黄体ホルモンの作用により、子宮内膜は受精卵が着床しやすい環境になります。
この黄体がうまく働かないと、黄体ホルモンは十分に分泌されません。
着床に適さないこの状態を、黄体機能不全といいます。
着床障害が不妊に与える影響は“■妊娠を邪魔する着床障害”をご覧ください。
⑤ 子宮頸管因子
子宮腔と膣をつなぐ管を子宮頸管といいます。
ここから分泌される粘液は、以下の重要な役割があります。
- 細菌の進入を防ぐ役割
- 精子を受け入れる役割
排卵前になると頸管粘液の分泌量は多くなります。
精子はこの頸管粘液に蓄えられて、卵管へ送り出されます。
頸管粘液の酸性度が高かったり、固い、量が少ないなどの異常があると、頸管粘液の中に精子がほとんどいない状態になってしまいます。
これが不妊の原因につながります。
ちなみに排卵が終わると頸管粘液は粘り気がなくなり、排卵から2日すると精子はその中に入っていけなくなります。
子宮頸管の通過障害に関しては“■不妊原因である子宮頸管の通過障害には○○が有効”参照。
⑥ 抗精子抗体

精子を異物と判断して抗体を作ってしまい、排除しようとする免疫機能の異常。
女性の身体にとって精子は異物ですが、排除しようとすることはありません。
その精子を排除しようとする抗体を持っている女性がまれにいます。
精子が頸管粘液に入ってこようとしても、抗体によって子宮に入れなくなってしまうのです。
これでは自然妊娠は不可能なため、体外受精が必要になります。
ちなみに旦那さんの精子との相性ではなく、“精子”そのものに抗体ができるため、ご夫婦の相性ではありません。
抗精子抗体の詳しい内容は“■抗精子抗体があると、人工授精では妊娠しにくい理由”をご覧ください。
⑦ 原因不明不妊
不妊検査をしても原因が見つからない場合のこと。
不妊原因の10~20%を占めるくらい、現代の医学でもわからないことがたくさんあります。
原因不明不妊の中で特に大きな割合と考えられているのが、卵管のピックアップ障害です。
排卵の際、卵管がうまく卵子を取り込めない場合のことをいいます。
このピックアップ障害があるかどうかを調べる検査方法は未だにありません。
もしピックアップ障害があると、体外受精でしか妊娠することができません。
原因不明不妊、機能性不妊に関しては“■原因不明不妊と体外受精”をタップしてご覧ください。
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