こんにちは、京都の長岡京市・向日市のみやもと鍼灸整骨院院長の宮本です。
コルセットが腰痛に効果的な理由と、そのリスクをまとめてみました。
コルセットを巻くと、ぎっくり腰でも腰の痛みは緩和します。
しかし誰にでもコルセットが有効というわけではありません。
特に血圧の高い方は要注意です。
コルセットの正しい巻き方もご紹介します。
腰痛はいつも通りの日常生活の動作や、出産後の授乳や抱っこ、交通事故でも起こります。
コルセットの知識を身につけて腰痛を克服しましょう!
腰痛にコルセットが効果的な理由
ぎっくり腰などの急性の腰痛の場合、コルセットを正しく巻くと痛みはマシになります。
痛みが軽減する要因として、大きく3つ挙げられます。
腹圧、運動制限、筋活動による影響です。
①腹圧

お腹の中の圧⼒を腹圧(ふくあつ)と⾔います。
腹圧が弱いと腰痛は起こりやすくなります。
逆に、腹圧が高いとぎっくり腰などの腰痛は起こりにくくなります。
お腹をへこませて息を止めてみてください。
これが腹圧が⾼い状態です。
でもこの意図的にお腹をへこませた状態は、椎間板の圧力が高まって腰痛や椎間板ヘルニアの原因になります。
自然と腹圧の高い状態が作れると腰痛は起こりにくくなります。
自然に腹圧の⾼い状態を作り出すために必要なのが、お腹周りの筋⾁です。
お腹の筋肉や腰の筋肉を鍛えることで、自然と腹圧の高い状態を作り出すのです。
しかし腹筋や背筋を鍛えるのって、しんどいですよね。
時間もかかるし。
そんなとき頼りになるのが、コルセット︕
適切な位置に正しくコルセットを巻くことで、腹圧を意図的に⾼めることができます。
コルセットを装着すると、腹圧は約20%上昇します。
腹圧が⾼まると、筋⾁の中の圧⼒も⾼められます。
すると、体幹の⽀持性や固定性が強くなります。
これが腰の安定につながり、ぎっくり腰や慢性的な腰痛が軽減されるのです。
椎間板の圧力も高まらないので、椎間板ヘルニアのリスクも少なくて安全です。
ただ、腹圧を高めることで血圧へのリスクも高まり、コルセット装着によるリスクになることも…“B.血圧などの自律神経への影響”
②運動制限

腰痛、特にぎっくり腰の場合、動かないでじっとしていると痛みはあまり感じません。
でも、少しでも動くと激しい痛みに襲われます。。。
(僕もぎっくり腰経験者なので、その⾟さよくわかります)
それならば、激しい痛みが出ない範囲までに動きを制限できればいいのではないでしょうか︖
…しかし息をするだけでも痛い起こりたてのぎっくり腰にはほぼ不可能。。。
だとしても、コルセットを巻いて動きを制限しておくに越したことはありません。
コルセットをすることで、どのくらいの動きの制限が可能なのでしょうか︖
コルセット装着により、30~50%の動きの制限が可能とされています。
しかしこれはある程度の硬さのあるコルセットを正しい位置に巻いたときの話し。
コルセットには様々な種類があります。
- 患者様の身体に合わせて作られるオーダーメイドのコルセット
- 薬局で売っているようなふにゃふにゃの柔らかいコルセット
- 整骨院などで扱っている固い金属の入っているコルセット
などなど。
種類によって制限できる能⼒は変わってきます。
硬い⽅が動きを制限する⼒は強くなります。
⾦属ステー(板)が⼊っている⽅が、動きの制限への影響は⼤きいと考えられます。
いずれにしても、⾻盤にかけてコルセットをきちんと装着することで、動きを制限することは可能です。(ウェイトリフティング⽤などのスポーツコルセットは除く)
③筋活動への影響

コルセットを装着していると、腰の筋肉の活動量は低下します。
痛みの原因が筋⾁にある腰痛の場合は、痛みがマシになるということです。
(ぎっくり腰も正式には筋筋膜性腰痛と⾔い、筋⾁に原因があります)
どのくらい筋活動量が低下するのか。
コルセットを装着していないときと⽐べた、様々な研究データがここにあります。
- 背中の筋⾁で15%、お腹の横にある筋⾁で19%の筋活動低下
- 腹筋で40%、背筋で60%の筋活動低下
- 硬くて少し幅広のコルセットでは45%、プラスチックのコルセットでは48%、柔らかいコルセットでも20%筋活動を抑制する
いずれにしても、
「コルセットの硬さや覆う幅によっても異なるが、コルセット装着時は筋活動が抑制される」
ということです。
ぎっくり腰(筋筋膜性腰痛)などの腰痛では、腰や背中の筋⾁の活動量を低下させられるので、硬めのコルセットは⾮常に有効です。
しかしこの筋活動を抑制できることが、コルセットのデメリットにもなる、、、
コルセットによるリスク
ここまででコルセットがどれだけ腰痛に効果的かをお話してきました。
腹部肥満体型の方のぎっくり腰では、その効果を特に発揮してくれます。
しかしコルセットを装着することで、2つのリスクが考えられます。
A.コルセットの予防効果と⻑期間装着による影響

前項でお話したように、コルセットは腰の筋⾁の活動を低下してくれます。
これが急性期の痛みを軽減することに役⽴ってくれます。
しかし、筋活動が低下するということは、筋力低下につながると考えられています。
これを廃⽤性萎縮(はいようせいいしゅく)と⾔います。
使わない筋⾁は衰えていく、ということです。
⻑期間コルセットを装着するとそのリスクは高まります。
前項で示した研究データ、
“腹筋で40%、背筋で60%の筋活動低下”だと、常にそれだけ筋肉を使わないということです。
コルセットを長期間装着していると筋肉は落ちてしまっても仕方ありませんよね。
コルセットは痛みの軽減や背⾻の安定と⽀持を与えてくれます。
それが⽇常⽣活への早い復帰をもたらしてくれます。
ただ必要以上に装着することで、筋⾁の衰えや⾝体を動かす柔軟性を低下させることが懸念されます。
B.血圧などの自律神経への影響

ウェイトリフティング⽤ベルトを⽤いた有名な実験があります。
ベルトを装着したときと装着していない時の状態で運動をしてもらって、⼼拍と⾎圧を計測するものです。
ベルトを巻いているときの方が、動作中の⼼拍と⾎圧は明らかに増加しました。
他にも数多くの実験が⾏われています。
ウェイトリフティング⽤だけでなく、コルセットそのものを巻いた実験も多数あります。
それらのすべての実験で、明らかな⾎圧の上昇を⽰しています。
コルセットを装着することで腹圧が⾼まり、⽑細⾎管にも同じように圧⼒がかかります。
これが⾎圧の上昇を⽣むのではないかと考えられています。
コルセットを装着することで、⾎圧の上昇以外にも下記のような影響があります。
交感神経が⾼まった結果、
- ⼼拍数の上昇
- 呼吸数の増加
- 肺活量の減少
などがみられることが明らかとなっています。
⾼⾎圧の⽅は、コルセットを装着して気分が悪くなったりするようであれば、しないほうがいいのかもしれません。
コルセットはぎっくり腰の痛みを軽減してくれますが、⾝体の状態が悪くなるかどうかに気をつけながら装着するようにしましょう。
まとめ

- 腹筋に⼒を⼊れて息を⽌めると腹圧は上昇するが、椎間板の圧⼒も⾼まって腰痛の原因になることがある。しかしコルセットなら腹圧は上昇するが、椎間板の圧⼒は上昇しないので安全である。
- コルセットをすることで体幹の⽀持性が増し、可動域制限を⽣み出せる。
- コルセットの硬さや覆う幅によって能⼒が異なるため、急性期のぎっくり腰では硬めで幅が広めのほうが適している。
- コルセットを装着することで背中や腰の筋⾁の活動を制限することができる。そのためぎっくり腰では痛みを和らげてくれる。それに伴い、⻑期間コルセットを使⽤していることで腰や背中の筋⾁の低下を招く。
- コルセットの締め付けによって交感神経が活動し、⾎圧、⼼拍、呼吸数が上昇する。ゆえに⾼⾎圧者ではコルセットの使⽤に注意する必要がある。
ぎっくり腰などの腰痛のときに、コルセットが有効な理由がわかっていただけたのではないでしょうか︖
有効な⾯もあればリスクな⼀⾯もある。
そこを考えながらコルセットを装着する必要があると思います。
たかがコルセット、されどコルセットなのです。
コルセットの巻き方
最後にコルセットの巻き方をご紹介しますね。
巻き方を間違えると、効果もなくただ巻いているだけになるので、しっかり効果のある巻き方を実践しましょう。
京都のみやもと鍼灸整骨院で使用しているコルセットはこちらの“サクロデラックス”。
金属ステーが4本も入っているので、腹圧上昇、運動制限、筋活動抑制など、これまで述べてきた腰痛軽減に効果的な要素をすべて満たしています。
さらに痛みが緩和してきた時期でも、生活に影響が出ない程度に動けます。
急性期でも慢性期でも使用できるのでとてもお得なコルセットなのです。
コルセットの真ん中が背骨に当たるようにしてください。

コルセットの上下の幅の真ん中が、骨盤の左右に張り出した骨にくるように合わせます。


息を吐きながらお腹をできるだけへこませます。
この状態でコルセットをギュッときつく巻きます。


補助ベルトがあれば、さっきと同じで息を吐きながらお腹をできるだけへこませて、しっかり巻いてください。

少し苦しいかも知れませんが、ぎっくり腰などの急性期の腰痛にはとても効果的です。
もしもぎっくり腰や慢性的な腰痛でお悩みなら、京都の長岡京市・向日市にあるみやもと鍼灸整骨院におまかせください!
阪急西向日駅からは徒歩10分。
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