着床するには子宮内膜は厚すぎても薄すぎてもダメ。
その理由とは?

着床障害

受精卵は卵管から子宮内に入ってきて、子宮の内側の膜にもぐりこみます。
このように受精卵と子宮内膜がしっかりつながることを『着床』といい、妊娠成立となります。
しかしなんらかの原因によって着床がうまくいかないことがあり、これを『着床障害』といいます。

この段階で妊娠を邪魔する原因は大きく2つに分けられます。

  • 着床を邪魔する器質的な問題がある場合
  • ホルモンに問題がある場合

器質的な問題

① 子宮筋腫

子宮体部の筋肉にできる良性腫瘍で、受精卵の移動や着床を邪魔することがあります。
30代、40代によく見られますが、20代でも起こることがあります。

子宮筋腫ができる場所や大きさなどによって、着床への影響は変わってきます。

直径4~5cm以下で子宮の筋肉の中にできた場合は、着床に対する影響も小さくなります。
まずは治療をせずに様子を見ます。

それ以上に大きな筋腫では薬物療法や手術がおこなわれます。
子宮の内腔に飛び出るように筋腫ができる粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)は、1cmほどの小さなものでも着床障害につながりやすく、流・早産の原因にもなりやすいので切除が必要です。

薬物療法では、生理を止める薬を使用します。
一時的に閉経状態にすることで、筋腫の発育に影響のある女性ホルモンの分泌を抑えて、筋腫を小さくすることが目的です。
ただ、薬物療法は時間がかかるため、年齢的に余裕がない人は手術で筋腫を切除します。
筋腫核出術(きんしゅかくしゅつじゅつ)という方法で、筋腫だけを切除します。
もしくは子宮鏡を用いて、内視鏡で筋腫を取り除くTCR(子宮鏡下手術)がおこなわれます。

② 子宮腺筋症

子宮内膜症の一種です。(子宮内膜症については“■子宮内膜症が不妊に与える影響”参照)
子宮の筋肉の中に入り込んだ子宮内膜が、生理のたびにその場所で増殖と剥離を繰り返す病気です。
月日が経つうちにその部分が剥がれて分厚くなり、子宮筋腫と同じように受精卵の邪魔をするようになります。

治療は子宮内膜症と同じように、まずは薬物療法がおこなわれます。

③ 子宮内膜ポリープ

子宮内膜が部分的に増殖して、小さなポリープを形成することがあります。
良性なのですが、できる場所や数によっては受精卵の着床の邪魔をしてしまいます。

子宮鏡検査で発見されるので、その場で切除します。
ポリープの数が多いときは、子宮内膜をかき出すような掻爬(そうは)という処置が行われます。

④ 子宮内膜が薄い

子宮内膜は排卵後に増殖して厚くなり、受精卵が着床しやすい状態になります。

逆にいうと、子宮内膜が薄いままだと着床できません。
子宮内膜の厚さが6mm以下になると、妊娠することがかなり難しくなります。

原因は、流産や妊娠中絶を繰り返したり、卵胞ホルモンの不足などが挙げられます。
また、排卵障害の治療薬であるクロミフェンを服用すると、そのうちの約15%の人の子宮内膜が薄くなって着床しにくくなるといわれています。
この場合は、排卵誘発剤をクロミフェン以外のものに切り替えれば大丈夫です。

治療は、ホルモン剤や抗生物質などを使います。

⑤ 子宮内膜増殖症

子宮内膜が必要以上に厚くなることがあります。
古い層が厚くなることが多く、そこには十分な血液が流れていないので、受精卵を着床しにくくしてしまいます。

加齢や、脂肪の多い食生活や肥満などが関係します。

子宮内膜増殖症は放置しておくと、子宮体癌(しきゅうたいがん)につながることがあります。
不正出血をともなう子宮内膜増殖症の場合は、子宮癌の検査もおこないます。
不正出血がない場合は、まずは様子を見ます。
子宮内膜が厚くなるようなら、やはり子宮癌の検査をおこないます。

⑥ 子宮体癌(しきゅうたいがん)

子宮体癌は閉経期の50~60代に多い病気ですが、20~40代でも見られることがあります。
そのため、不妊検査の際に見つかるケースもあります。

初期のものであれば、癌を子宮内膜ごとかき出す掻爬術(そうはじゅつ)をおこないます。
そのうえで、抗がん剤などの化学療法をおこないます。

しかし基本的には癌の転移を防ぐためにも、子宮の全摘出が必要になってきます。
残念ながら妊娠はできなくなります。

⑦ その他の器質的な問題

・子宮内膜癒着…
子宮内膜が炎症によって癒着を起こすことがあり、受精卵が着床しにくくなります。
原因として、クラミジア感染症や子宮内膜炎、妊娠中絶による掻爬術(そうはじゅつ)などが挙げられます。
癒着がひどい場合は、癒着剥離術をおこないます。

・子宮奇形…
生まれつき子宮が変わった形をしている場合があり、着床しにくくなるといわれています。
ただし、まったく問題なく妊娠するケースもあります。
それでも不妊期間が長いなど、なかなか妊娠にいたらない場合は手術を行います。

・子宮発育不全…
子宮の発育が未熟なケース。
子宮が小さいだけでなく、機能も未熟なため、妊娠しづらい状態になります。
治療はカウフマン療法やピルなどを使ったホルモン療法をおこないます。

ホルモンに問題がある場合

黄体機能不全

基礎体温の高温相は10日以上続きます。
これは、排卵後に分泌される黄体ホルモンの影響によるものです。
この黄体ホルモンは、子宮内膜を厚くして、受精卵が着床しやすい状態にしてくれます。

ところが、黄体ホルモンの分泌が不十分で、子宮内膜が厚くならないことがあります。
これを『黄体機能不全』といいます。
受精卵が着床しにくいだけでなく、妊娠しにくくなります。

黄体機能不全は、基礎体温の高温相が短ければ(9日以内)疑われます。
さらに、排卵日から次の月経までの日数が10日以下のとき、ますます黄体機能不全が疑われることになります。
詳しい検査になると、黄体期中期の血液中の黄体ホルモンの値を見て確定します。

治療は、黄体ホルモンの飲み薬や注射、HCGの注射などがおこなわれます。

これだけたくさんの原因が考えられる着床障害。
しかし現在では、内診やホルモン検査、超音波検査、子宮卵管造影検査などの検査をすることで診断ができます。
妊娠しにくいと感じたら、早めに病院へ行くことをおススメします。

京都の長岡京市・向日市のみやもと鍼灸整骨院では、不妊への効果が医学的に証明されている不妊鍼灸が受けられます。
みやもと鍼灸整骨院の不妊鍼灸